22 終わりに

 この旅も、私の今までの旅のうちの一つに過ぎないが、これまでとは、全く違う旅でもあった。私にとって「中国・西域」の旅は、大げさを承知で言えば、40年近く思い続けた恋人にやっと巡り会えたようなものなのだ。

 日本人としても、
この国は「日本の原点」とも呼べる位置にある。妙に懐かしいが、日本とはちょっと違う。また、違ってはいるが、どこか繋がりを感じさせるのだ。遠くで血がつながっているためか。長い歴史の縁のためか。人類学の学者が、「日本人の祖先は南中国から来た」というのも、何となくうなずける。 また、「中国4000年の歴史」とかよくいうが、どこにいても実感としてそれを感じた。歴史のみが持つことのできる重さは、絶えず肌で感じられた。 我が国も世界的には、歴史の重さを誇っているが、この偉大な国には、質物量ともに足元にも及ばない。この国は、そういう国なのだ。こんな国を、日本は侵略し、人民を殺戮し、建造物を破壊したのだ。歴史は元には戻せないが、教訓があるとするならば、もう二度と侵略戦争をしてはならないと思う。

 わたしは旅の間ずっと
人々の生活力、民衆のエネルギーを肌で感じた。ほぼ十三億になろうという人間のパワーである。これから成長しようとする姿である。これは、東南アジアのものとは少し異なるが、やはり「これがアジアだ」という感じであった。しかし、また残念なことも見聞きした。近代化が遅れ、ある意味では「若い」国のため、「先進国」では見られない、あるはずもないことにもいくつか遭遇した。また、「社会主義」としては転換期のため、「拝金主義」の横行も目についた。インフラ(社会資本)の未発達やサービス業の質の極端な低さにも驚かされた。そして、残念なことに中国の人たちの日本人を見る目が、いつも好意的とは限らなかった。

 それにもかかわらず、この国はアジア、世界の中でやはり「大国」であり、発展してゆくであろうことは間違いないし、
我が国にとって大切な隣人の一つである。日本も中国も互いに尊重しつつ、共に生きてゆく姿勢が大切であると思う。私は、この文を読んでくれる若い人たちに、心の垣根を取り払って、隣人とそういう関係を作って欲しいし、いずれの国の歴史も大切にして欲しいと願っている。
                                        
                                            (おわり)        
                          
(注 上の文章は1998年1月13日時点のものです)        

                    

<外部リンク>
在日中国大使館公式サイトリンク<中国観光>

***********参考及び引用文献***********

文献類
1 世界各国史W  中国史  鈴木俊   山川出版社
2 写真集 シルクロード No 1−5 NHK取材班編 日本放送出版協会
3 イラストガイド シルクロード  中華書店  人民中国雑誌社
4 地球の歩き方  中国B 西安とシルクロード  ダイアモンド・ビッグ社
5 秦の始皇帝とその時代展 樋口隆康  日本放送協会
6 2200年前の帝国雄兵  呉暁叢   香港広彙貿易(株)
7 絲路勝跡  呉 健  彊人民出版社
8 中華人民共和国地図集  中国地図出版社編  帝国書院
9 写真図説 日本の侵略   アジア民衆法廷準備会編 大月書店

使用した地図・写真類
1 THE Newly Commerce Tourist Map Of Xinjiang Uygur Autonomous Region 西安地図出版社
2 敦煌観光図  中国科学院編纂  西安地図出版社
3 秦始皇兵馬俑博物館パンフレット
5 吐魯番(絵はがき)    中国新彊吐露番地区郵便局発行
6 Trafic Map For Tourists / Mapping and Reference House of X.U.A.R
7 トルファン近郊地図   西安とシルクロード 地球の歩き方  ダイアモンド社
   
CD-ROM
1 シルクロード百科図鑑 ハイブリッド版 ZERO NECインターチャネル(株)

参考・使用・転載したHPサイト(For HP version)
Many thanks to these sites:

利用させていただきました各サイトにはお礼申し上げます

火焔山    http://www.amris.co.jp/saiiki/
莫高窟入口 http://www.chinapage.com/dunhua1.jpg
五星紅旗   http://homepage1.nifty.com/ptolemy/nations/asia/china.htm
莫高窟     http://www.hi-ho.ne.jp/congratulations/
中国地図    http://www.synnet.or.jp/loulan/map.html
トルファン   http://pro1.project.mnc.waseda.ac.jp:8080/silk/index.html
カレーズ   http://www10.freeweb.ne.jp/travel/ken-abe/china2/silkroadtravel.html
歴史略地図 http://www.dunhuangcaves.com/Overview/silkroad.html
イリューシン86 http://www.nhirai.com/z_il86.htm

その他の写真は筆者の撮影による、Photo(C)1997 by Kenji Kakehi




中国・西域・絲綢之路を旅して
シルク・ロード
1998.1.13 初稿
2000.11.25 HP ver.1完成
2001. 3.17 HP ver.2 完成
2002 .2.10 HP ver.3 完成
(C)1998-2002 All rights Reserved by Kenji Kakehi
ホームページの閲覧及び教育用の使用に
   ついては著作権者の許可は不要です

         旅のイマージュ