4 B&Bのオーナー・ファミリー(The Kennedy's), LONDON, ENGLAND

      裏庭から見たWoodford Green B&B 
 
 ロンドン・ヒースロウ空港から地下鉄を乗り継ぎ、一時間半かかってやっと郊外のウッドフォード駅に降り立った。関西国際空港を出てから24時間半後である。そこから歩いて数分の所に、今回のB&Bがある。B&Bとは「ベッド アンド ブレックファスト」の頭文字で、文字通り朝ご飯のついた宿屋である。B&Bは、イギリスで起こったらしく、国内にはいくらでもある。日本で言う「民宿」だが、ああいう「みすぼらしさ」はない。100年以上前のヴィクトリア朝時代の大きな家を改造していたり、イングリシュ・ガーデンが自慢の宿があったり、結構小綺麗なものが多く、楽しい。それに、ここの人たちの生活する姿が、目の当たりに見られる。

 この宿の場合、朝食もベ−コンエッグ、焼きたてのパン(3種類)、ミルク、ヨーグルト、フルーツ、シリアル、クラッカーがあり、全部食べてもいい。この素晴らしい食事を「
イングリシュ・ブレックファスト」という。ヨーロッパに多い、パンとコーヒーそれにバター、ジャムだけの「コンティネンタル・ブレックファスト」とは、全然質が違うのだ。何だか、イギリス人が、「ヨーロッパとは一緒になりたくない」という気持ちが分かるような気がする。これで、一泊25ポンド=4000円弱(2000年10月現在)なのである。ロンドンで長居をするときは、とても良い宿泊施設だ。

             
   筆者とオーナーファミリー The Kennedy's

 脱線してしまったが、ここのオーナー・ファミリーについて話そう。オーナーはここの家の奥さんで、名を
リンゼイLindsey(右上)という。写真で分かるとおり、明るく元気で気さくな感じの人である。彼女とは、日本を発つ前に何度も予約の確認やら連絡、問い合わせのメールをやりとりしていた。初めて顔を合わせたときも、「やっと来たね、待ってたよ」という感じで、何となく安心をした。部屋に荷物を置いてキチンに行ったら、ミルクティーを入れてくれて、今後の予定について相談に乗ってくれた。頼んであったことも調べておいてくれた。頭の回転もいい。尋ねたことに的確に答えてくれる。明快である。
 
 さて、リンゼイのダンナさんだが、聞くと何と
裁判官(judge)であった。夕方帰ってきたとき会った。白髪だがふつうのパパで、物静かで親切な人であった。わたしのために電話をかけてくれた。ただ、私が行ったときは、運悪く彼のお母さんが亡くなり、葬式があったので二言三言話しただけであった。

 この他、初日に会った人には、リンゼイのお父さんがいる。名前は忘れたが、近くに住んでいて時々来るという。おもな「仕事」は大工仕事やメインテナンスらしい。その時も中庭で、立て付けの悪いドアをはずしてカンナをかけていた。そこで、それを手伝いながら話をすることにした。彼はすでに引退しており、理由をつけては孫達に会いに来るようだ。明るく楽しい性格でジョークも多く、さすがリンゼイのパパという感じである。リンゼイのことを褒めると、「あの子は自慢だ。」と言った。わたしも情報が欲しかったので、いろいろ質問したが、嫌な顔ひとつせずに教えてくれた。後にでてくるモード嬢が通りかかると、からかったりする。少々口は悪いが、親しみのもてる
ジイ様である。

  ダイニングから裏庭を見る  "Wow ! What a gorgeous breakfast !"

 次は子供達である。前写真の右の3人である。上の二人が女の子で、私が日本からもっていった扇子など小物をあげると、喜んで扇いでいた。いちばん下が男の子で、日本でいう「小一」らしい。この子がかわいくて、ついつい相手をしてしまった。あまり子供達と話していて、リンゼイに叱られた。
 「ケンジ、この子達は勉強するから、あまり構わないでね。」

 そうだった。日本でも小学生は、晩ご飯前に宿題をするのだ。リンゼイは子供達にも結構勉強について厳しく言っている。上が女二人なので、弟にあれこれ教えている。こんな所も日本となんら変わらない。と言うか、やや「教育ママ」である。話しかけたことで、あとでリンゼイに謝っておいたが、その時に「男の子はカワイイね、それに頭が良さそうだ」というと、嬉しそうな顔をして、両親ともあの子に期待をかけているようなことを言った。どこの国でも、男の子に対しては状況は同じだ。