竹村健一氏の講演会と観客のマナー
旅にまつわる話・纏わらない話(その13)

 評論・座談会・放送などの活動で有名な竹村健一氏の岡山講演があったので、聞きに行きました。講演のタイトルは「これからの日本」というものでしたが、要するに「日本の運命はアメリカの掌中にあって、アメリカの意向次第で決まる。円ドル為替の動きで経済全てが決まる。良い日米関係は大事だ。今は小泉首相のおかげで比較的良好なのだ。」というようなものでしたが、これも「第一期フルブライト留学生」の同氏らしくアメリカ寄りの姿勢が見えました。話し方もラジオ番組のトークそのままで、驚きました。講演では話し方が少しは変わるのかと思っていましたが、ソファにドタッと座ったままの「彼流」おしゃべりでした。さすがにパイプはくわえていませんでしたが・・・。

 それはさて置いておいて、気になったのは「携帯電話」のマナーでした。私の隣りに会社の役職でもしている感じの中年男が座っていました。彼は講演が始まると、さかんに携帯を出してメールをうっていました。そして設定でも変えたのか、画面を見てからポケットに入れました。私はこれだけでも気になっていましたが、しばらくすると「ビビビビビビビビビ」とバイブレーションの音が聞こえました。私は驚きました。男はしばらく鳴らしてから、電話を取り出して画面を見ていました。それからまたメールを入れ発信しました。またポケットに入れました。こんなことが1時間足らずで5,6回ありました。

 私は講演をじっと聴いていましたが、その音がする度にビクッとしました。バイブレーションでもその音はよく響くのです。実は講演が始まる前に、アナウンスがいろいろと観客に「お願い」をして、「まわりのお客様の迷惑になりますので、携帯電話の電源をお切り下さい」と何度も繰り返していました。彼には大事な案件だったかも知れませんが、何度も繰り返しメールをやりとりするのなら、講演会に来なければいいのです。実際、彼はメールに気を取られて、講演をよくは聞いていませんでしたから。こんな人が役付の会社だとしたら、どんな会社か容易に想像できます。私は竹村氏の講話が「期待はずれ」ということもあって、7回目のバイブレーションで席を立って退席しました。

 現代は電子機器を中心として大変便利な時代になっていますが、その急速な進歩が「法の整備」を上回っています。しかしもし「法」があったとしても、このようなことは「常識とマナー」で処理されるべきことなのです。またこういう問題について、マスコミももっと取り上げるべきでしょう。ふつうなら「切ってください」のアナウンスでスイッチを切るべきなのですが、彼に少しでも「他人の立場、まわりのこと」を考える姿勢があったら、こんないやな思いはしなくてよかったのです。私も「他山の石」としたいと思います。


(この項、旧「オーナー近況」、2003年10月掲載分を若干手直しをして再掲いたしました)

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