姫路市立美術館
旅にまつわる話・纏わらない話(その15)



姫路市美術館・筆者写、(C)2005

 
 姫路市立美術館に行きました。実は姫路城見学の後で寄ったのですが、ここの環境は姫路城敷地の延長にあって、素晴らしい場所です。そのうえ、旧陸軍師団のレンガ倉庫を改造した物で、外国の美術館並みの粋な外観です。庭の彫刻類もいい感じです。

 入場料の200円は本当に安いのですが、モネ、ピサロ、マティスなど有名画家の展示が50点くらいしかなくて、あっという間に鑑賞が終わります。収蔵品がもっと増えたらいいなと思えますが、実はこのコレクションは市内在住の医師、国富奎三氏から寄贈をうけたものがほとんどだそうで、仕方がないのかもしれません。それにしてもこの方は素晴らしい方です。

 これと比べて、ひと昔前に有名なD製紙社長のS某氏が、ゴッホの大作を百億とか数十億で買ってきて自分の家に飾り、「ワシが死んだら、絵も一緒に燃やしてくれ」と言ったとかで、世間どころか世界中からたいへん顰蹙(ひんしゅく)を買い、ごうごうたる非難をあびました。彼は「自分の金で買ったから、絵は自分の物、煮ようが焼こうがワシの勝手」と大変な勘違いしていたのです。欧米でも「本当の金持ち」は、自分のコレクションを死蔵せず美術館に寄贈します。ニューヨークのメトロポリタン美術館にもそういう部屋がいくつもありました。他の美術館でも同様です。貴重な美術品はたまたま持ち主はその人であって、「世界の宝」ということに変わりはありません。

 そういう意味では、この国富奎三氏は「人類の財産」を私物化せず、公共の利益のために公開しました。日本にもこういう金持ちが増えてほしいものです。同じく我が岡山県にも、「大原美術館」を創設した倉敷の大原家の大原孫三郎という素晴らしい金持ちがいました。これは倉敷の大原美術館を見れば、一目瞭然です。日本のメセナ*の先駆者かもしれません。岡山人としては誇り高いことです。

               サイトリンク:姫路市立美術館公式サイト
                      大原美術館公式サイト

     *メセナ【(フランス)mcnat】文化・芸術活動に対する企業の支援。
       企業名や商品名を冠する音楽会・演劇公演・美術展などを催して
       直接に援助する場合と、財団法人や社団法人を設立して援助する
       場合とがある。(大辞泉)


リンク:姫路城

(この項、旧「オーナー近況」、2005年1月掲載分を若干手直しをして再掲いたしました)

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