インチョン空港と東アジアのハブ空港

 
 今回のヨーロッパ行きは大韓航空を利用した 当然乗り継ぎである 乗り継ぎで大韓航空を利用する人は、よほど時間が逼迫していない限り、インチョン空港で時間を「つぶす」ことになる 私たちの場合、なんと「一晩ここで時間をつぶした!」 この空港は以前の古いソウル・金浦(キンポ)空港とは違って、「大きい、広い、店が多い、きれい」などというメリットがある      

 他に韓国政府の方針であろうが、「東アジアのハブ(中核)空港」の地位を狙っている 「当面の敵」は新しいホンコン国際空港であろうか 前の啓徳(カイタック)空港は町のすぐそばだったが、摩天楼をかすめるように急旋回しながら海面すれすれに着陸するのには、ハラハラ、やや緊張したものだ これはこの業界では有名な話であった

 さて、「東アジアのハブ(中核)空港」候補になぜ日本の関空や成田が出てこないのか?答えは「狭い、不便、町から遠い」などの欠点の他、なにせコンセプトが古すぎるのだ 新ホンコン空港は、イギリスの格付け会社による「世界でいちばん満足の空港」ランキングで、2001から2005までの5年間首位になった。因みに今年2006の一位はシンガポールのチャンギ空港にとられて、二位になった しかし公式HPは「アジアのスーパーハブ(総中核空港)をねらう」と大語している

 だからソウル空港は現在の所、ホンコン空港に負けている では航空会社同士ではどうか ホンコンのキャセイ航空は、英国スカイトラックス社のランキングでは、2005-2006の二年連続最高賞を受賞した サーヴィスがすばらしいうえ、重大事故は1972年以来一度も起きていない 機のエンジンはすべて、あの「ロールス・ロイス社製」である

 では大韓航空はどうか?機内誌「モーニング・カーム」が世界機内娯楽協会の最優秀誌部門二位、機内食は2006機内食協会ランキングで「ビビンククス」が最優秀の金賞受賞で、1998年の「ビビンバ」に次ぐ二度目の受賞である 機内ワインも旅行専門誌のコンペティションで2002以来3年連続第一位を獲得した それでも、全体的にはキャセイが「ややリード」といえる

 話は戻って仁川(インチョン)空港はどうか?開港の年にいきなりIATA(国際民間輸送協会)から、サーヴィス分野世界四位を受け、ISOから空港運営者が世界の空港で初めてISO9001と14001を取得した 2001年に開港してから日が浅いが、経営の前向き姿勢として評価される 

 インチョンはまた"Airport Service Exellence Awards for 2005"「世界のベスト空港賞」をACIとIATAから受けている この時の二位はホンコンとシンガポール空港で、クアラルンプール空港が三位だった また同時に「もっとも改善された空港」部門も一位であったし、「2500万人以上に利用された空港」部門のサーヴィスでも一位になっている こうなると、ホンコンとソウルはトータルでは「イーヴン」になりそうだ

 このようにだらだら書くと、何だかよく分からないが、要するに、日本の空港がこういう所に名前がでてこないことだ わずかに名古屋が「500−1500万人が利用された空港」部門にやっと一位ででてくるだけである 「アジアのハブ空港を目指す」といってもなかなか難しい 地理的位置でも厳しいものがある

 韓国は大韓、アシアナの両航空で合わせると、中国・日本各地などの路線が圧倒的に多く、「集客力」がJAL,ANAとまったく違う アジア各地から集めた客をインチョンに集め、デューティー・フリーで物を買わせ、アメリカやヨーロッパ、アジア各地に送り込む−というやり方はウマイ そのデューティー・フリーでも、日本円で買うと日本円、米ドルでもユーロでもちゃんとその通貨で釣りをくれる トランジット(乗り継ぎ)客には、「出国」しなくても泊まれるホテル(トランジット・ホテル)も空港内にある

 そういう意味では、日本の空港ではいろいろ制限・制約がありすぎる 飛行機の着陸料が高すぎるのも、他と比べて不利である これはすでに何度も論議されている またこのたびの旅では、オランダのスキポール空港も利用したが、世界有数の空港用地の広さだけではない利用者の便利さやただの「飛行機の駅」ではないプラスアルファが散見されて、「空港利用の喜び・便利さ」が増しているのだ さらにつけ加えると、「外国人に必要な英語を話すスタッフ」だが、オランダはパーフェクト、ホンコンは十分、インチョンはまずまずだが、日本の空港は一部を除いて英語力はかなり出遅れている

 話はスキポールにもどるが、一言で言えば、「一日中でもそこで快適に生活できる」ことだ 大きな都市の大ショッピングモールのように、必要なものは何でもある どうでも良いことだが、スキポールのスーパーには日本食品が小さな店くらい置いてあった 「花の国」らしく土産用球根も売られている ペットが入れる店もあった 車いすなど「障害者」にも分け隔てなく利用できるコンセプトも素敵である 上は高級レストランからハンバーガーショップもあったし、それぞれのスペースの取り方にゆとりがあった 大切な首都との連絡用輸送機関としての「オランダ国鉄」も10分おきだし、新しいデザインの二階建て車輌も感じがいい その点では、ホンコンが「エアポート・エクスプレス」という快適な電車があるのに対して、インチョンは連絡バス中心で、やや出遅れている

 日本でもっとも新しい国際空港である名古屋(中部)のセントレア空港は、さすがに新しいコンセプトで作られていて大変好評らしいが、私はまだ行っていないので、今回は講評は避けたい それでも公式HPを見ると、「なかなかやっている」らしいのである ただ先発二空港と比べると、国際線の便数がかなり少ない。早く日本の空港が「グローバルなレヴェル」になって欲しいと思うこの頃である

(この項、「このたびのたび」ブログ:2006年10月01日付を一部手直し転載しました)
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