アヴィラ・中世の城壁に囲まれた高原の町

--世界遺産--
World Heritage

 世界中で「近代化」が進められ、歴史の薫り・名残を感じさせる町並みが少なくなっている その「トレンド」の歯止めが「ユネスコ世界遺産」であり、またそれぞれの地元の「郷土愛」であり、観光促進の波である しかしそういう風潮とは別に、昔から変わらない生活によって、当たり前のように町並みを保全している所がヨーロッパにはある そういう「旧市街」は破壊せず、新たに外部に新市街を作って「共存」させている例である 有名な物としては南フランスのカルカッソンヌがある

 ヨーロッパの各都市だけでなく、ロシア、中国、インド、中近東などの多くの都市でも歴史的に強固な城壁が作られたが、後代になって「町の発展を妨げる」として、壁の一部または全部が取り除かれた しかしこのスペインの高原都市・アヴィラは「中世」がそのまま残された 高原の丘部の固い岩盤上に古い城郭が作られたが、現代の新市はやや低い壁の外に作られたのである

 土地が広いこと、人口の拡大が急激でなかったことや工業化の波に呑み込まれなかったこともあるが、「壊すこと」より「古い物との調和」という姿勢もあるであろう そういうことは町を歩いてみればよく理解できる そこにはけばけばしい看板やネオンサインはないし、コンビニも大型店舗もない

 また「何でも新しいから良い」ばかりではないということもよく分かるのだ 何よりも「ウォーキング・ディスタンス」=歩いて回れる大きさ−が町の魅力である そういう大きさであるから、歩いている地元の人たちは互いに挨拶をしあっている 顔見知りなのである 彼らは「足が地に着いた」生活をしている 「都市化」された日本人が忘れかけている生活である


 
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