旅のイマージュ
シナイ山(標高2285m)の夜明け
旧約聖書にでてくる預言者モーゼが神から「十戒」を授かったのが
この山であるとされている したがってユダヤ教徒、キリスト教徒だけでなく、
歴史好きやロマンを持つ者が世界中から集まる この時は10月中旬であったが、朝は3時に
起きだして4時に出発した 最初こそなだらかであった登山道はすぐに狭い急峻なものに変わった  しかも
一度に多くの人が登るうえ、客を乗せたラクダが割り込んで上がってゆく いろんな言葉があちこちから聞こえてくるが、
頭の懐中電灯だけが頼りの真っ暗な中で、どんな顔の人が話しているかも、また周りの様子もよく分からない 歩いている内は
まだよいが、いったん立ち止まると風も寒いしたちまち体が冷えてゆくのである 私の場合1時間半で頂上に立ったが、狭い頂上はほぼ満員
状態で人の間を縫ってさらに岩を登る 先客の中には「貸し毛布屋」から毛布を借りて暖を取っている者もいた 場所の確保をすると、カメラを取り出し
準備を始める しかし気温はかなり低いのでたちまち手が悴んでくる どっと出た汗も引き始めからだがどんどん冷えてゆく 「やはり着替えがあった方が
良かったかな・・」と思えた 辺りの誰もが東の空を凝視していた 着いた時は暗くて空の星も見えていたが、次第に人のシルエットが見えだし、顔も見えてきた
そして・・・・5時45分、朝陽がうえにあった雲を染めながら顔を出した 「オー!」という声が挙がり、カメラのシャッターがどしどしきられる しばらくは興奮状態が続いた




   
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Digital camera: SONY F828 with Carl Zeiss lens