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ポーランド・チェコ旅日記




「ゲットー記念碑」のレリーフ(ワルシャワ) P.Bohaterow Getta, Warszawa, Polska
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   は じ め に 
 以前からずっと行きたかった「アウシュヴィッツ強制収容所」やショパンの生地、音楽・文化の都プラハ、ピルズナービールの発祥地ピルゼンなどに行ってきました。また、初めて使う「ユーレイル・イーストパス」でポーランド、チェコなどの列車に乗ってきました。メモ日記に写真をつけてお贈りします。少々「重い」内容もありますが、基本的には歴史と文化と音楽とめぐり会いの旅です。まずは軽い気持ちで見てください。

  このたびの別サイト:音楽家の史蹟(生家、墓、博物館)を訪ねて

 
 第 一 日目 やはり日本のエアラインはいいなあ



 *下はすべてリンクしています

 
  
         From the NRT official web-site


 ←スターアライアンスHP


 ←地上のケアは全日空が担当


 ←飛ぶのはエアバスA340
                 
<OS52 NRT1135−VIE1610>

 
      A340 from Austrian Airlines official web-site

 
 
 ご承知の方も多いが、世界のエアラインはいくつかのグループに分かれている。就中、今私がもっとも利用しているのが、「スター・アライアンス」グループである。日本では「ANA全日空」が、ヨーロッパではドイツの「ルフトハンザ」、オーストリア航空、アジアではユーザーから人気抜群のシンガポール航空、オセアニアはニュージーランド航空、アメリカ大陸はエアー・カナダ、ユナイテッド航空などが加盟している。これらを利用すると、共同運行便などで乗り継ぎなどが簡単になる。さらにグループ航空会社にたくさん乗れば、「マイレージ」がどんどん貯まり、後でタダで航空券がもらえたりする。

 前置きはさておき、成田空港にはそれぞれの会社が、カウンターをもっている。私が乗るオーストリア航空もカウンターがあるが、スタッフは全員日本人で、同じグループの全日空が代行している。こういうことも世界には多い。スタッフはみんな感じが良く、小さなことを聞いても、いやな顔もせず答えてくれる。「こんなことは当たり前」のように見えるが、実はそうでもない外国の空港*が結構あるのだ。

 私の「一人旅」はいつも大きなリュックと小さなデイバッグ、車つき小ハードケースにジーパン、スニーカー、それにキャップといったカジュアルな「出で立ち」である。カウンターで搭乗手続きをして、大きなリュックを大きなヴィニール袋で包み、「チェックト・バゲッジ」として預けた。しかし空港内でコーヒーでも飲もうかと歩いていて、あることがひらめいた。急いで作業をしたので、バッグのジッパーを閉め忘れたかも知れない。なかには私の「旅の七つ道具」などの小物が入っていた。これらがなくなると大変困る。慌ててカウンターに戻り、事情を説明した。そこにはスタッフのA氏とKTさんがいた。A氏は「時間がありますから、調べて開いていたら閉めるように指示します。特に何かあれば、館内放送をします。」ニコリとして丁寧な対応をしてくれた。・・と、ふつうはここまでで話が終わる。

 私は「出国ゲート」を通過し、手荷物検査を受けたあと、搭乗ゲート前のベンチに座って待っていた。まわりはさすがに日本人とドイツ系の人ばかりだった。そこへいきなり、「お客様!」という女性の声が聞こえた。顔を上げると、カウンターにいた全日空のKTさんである。何と息を切らして、違う階の遠いところから探しながら来てくれたらしい。「お荷物のジッパーは閉まっていましたが、念のためさらにテープでしっかり留めておきました。ご安心下さい。よい旅をお続け下さい。」私は気持ちが大変嬉しかった。「本当にわざわざスミマセンでした」というと、「いえ、これが私たちの仕事ですから・・」と言う。彼女の笑顔がまた素敵だった。爽やかである。こういうのが、本当の「サーヴィス」なのだ。同じお金を払うのなら、こういう会社がいい。私の心の中で、「全日空」の評価がドンと上がったのは言うまでもない。

付録 全日空ANAよりの返信メール 

「旅情報」(換金、市内交通など)
 第二日目
 もと「社会主義国」の犬の糞!オー・シット!

  オーストリア航空傘下チロリアン航空・ダッシュ8-400(ウィーン空港)


 ダッシュ8-400のプロペラ部分


 異様な高さで辺りを睥睨する文化科学宮殿(ワルシャワ)
  権威主義的な「旧ソ連」の贈り物


 ポーランドが生んだ天才・コペルニクス(ワルシャワ)



 ウィーン・シュヴェヒャート空港発、ワルシャワ行きオーストリア航空3623便は、13:35発である。建物からの連絡バスで連れて行かれたのは、空港の端にある双発プロペラ機の所だった。しかも会社名は「ティロリアン航空」で、オーストリア航空の子会社であった。しかしこれは、日本でもよくあることだ。「全日空**便」とあっても、機体は「オール・ニッポン」だったりするのだ。ダッシュ8の機体は、案の定狭くほんとに質素であった。まったく「近距離用」に作られている。

 少し脱線するが、今回の私の航空券は、業界でいう「オープン・ジョー」である。当然ながら、「オープン」は「開いた」という意味だが、「ジョー」は「あご」である。一般人にはまるで意味不明だが、こういうことである。つまり、日本から外国のAという市へ飛び、そこで別の飛行機に乗り換え、B市に向かう。途中はバス汽車など他の交通手段で移動し、別のC市から再びA市へ飛び、乗り換えて日本に帰る。「単純往復」とは異なる横から見た「開いた口」の形になる。

 私の場合は、東京成田−ウィーン−ワルシャワ・・(列車)・・プラハ−ウィーン−大阪関空という超変形になる。しかも、途中ウィーンで行き帰りに各一回ストップ・オーヴァー*注:欄外下という「仕組み・制度をめいっぱい使った買い方」なのである。私も最近は、こういう「リピーター」らしい買い方が多くなった。しかもこれを「ネット」で買えるのは、大変助かる。格安航空券は店舗をもたない、または大都市にしか営業所をもたない代理店が中心だからである。

 さて話は機内に戻る。ワルシャワに近づくにつれて曇り空になり、やがて雪が降り始めた。雪が積もったワルシャワ空港は、何となく古めかしい設備であった。内部の照明も薄暗く、明らかに近代化が遅れていた。その国の経済状態は、首都の国際空港を見れば、一目瞭然である。因みに最近のアジアでは、韓国ソウルのインチョン、香港国際(新)、シンガポールのチャンギ空港は、世界でもトップクラスである。残念ながら、我が成田APや関西APも一歩引けをとる。

 何となく「社会主義」の雰囲気の残る「役人風オフィサー」にスタンプを押してもらい、到着ロビーに出る。悪名高い「白タク」の運転手の「誘いの声」を無視し、小さなキオスクで町中行きのバスキップを買った。ウィーンの公共輸送機関は日本より安いが、物価の安い「旧社会主義国」はさらに安い。それでも、社会主義の時代は、もっと安かったらしい。

 二両連結バスの車体は意外に新しくきれいだが、乗客の服装はふたむかし前の日本のようだ。さらに町の建物や通りのようすは、どんよりとした曇り空の影響もあってか、くすんだ感じで華やかさがないし、日本のような大きな広告やネオンサインも見あたらない。もっともパリでもロンドンでも、アメリカや日本ほどは、ケバケバしくはないが・・。良くも悪くも町全体が落ち着き、歴史を感じさせる。

 降りたバス停はなんと「ワルシャワ大学前」であった。あのショパンもこの大学にいたことがある名門である。近くに左のような「コペルニクス像」があった。日本の学校を出た人で、彼の名を知らない者はいない。その像から50mくらい入った所に、空港の旅行社で紹介されたホテルがあった。古くて格式はありそうだったが、なんとエレヴェーターもなく、室内の設備は日本のビジネスホテル以下である。これで一泊朝食付日本円換算9000円くらいだ。ワルシャワは際だってホテル代が高く、他の物価とのギャップがすごい。客はすべて外国人かビジネスマンかリタイヤしたややお金をもってそうな老人ばかりだった。

 バスを降りてから、しばらく歩いて気がついた。犬の糞が異常に多いのである。たまたまそこだけかと思っていたら、それが延々とつづくのだ。翌日ずっと歩いて、この町全体が「糞だらけ」ということが判明した。日本のような「飼い犬条例」はないらしい。もっともパリの朝のシャンゼリゼにも、犬の糞を地下水路に流す清掃人たちがあふれていたが・・・。とにかく、これではまるで「五代将軍綱吉時代の江戸の町」だ。歩道の上は2〜3mおきに、公園では50cmおきにあり、そのうちの半分はくつの跡がついている。ン?ということは・・?!この町では、<夜は絶対散歩しない>ことが鉄則だ。フンを踏んだといって憤慨しても始まらない。

 私の部屋からは、カーテンを開けるとあのコペルニクス像が見える。彼の頭にはまだ雪が残っていた。値段が高いだけあって、このホテルは歩ける距離に歴史のある「旧市街」があり、ロケーションも大変良いのだが、真夜中でもマフラーを外した車がひっきりなしに通り、若者たちが騒ぎながら行き来するのには、閉口した。これは「大学町」だから仕方がないかも知れないが・・。どこの国でも大学生はハメを外す。

「旅情報」(換金など)


*「ストップ・オーヴァー」
経由便・乗り継ぎ便で目的地までの途中、または帰りに立ち寄った空港(都市)で24時間以上滞在すること。日本語では途中降機。
ただしディレイ(スケジュール遅れ)で24時間を超えた場合は乗継ぎのための寄港であり、ストップオーバーではない。