アンジュングン < ソウル市・南山公園 > |
「愛国義士 |
<1 事実>
1909年10月26日 統監を辞任して密院議長となった伊藤博文は、日露交渉のために
満州のハルピンを訪れた。
韓国人安重根が公爵伊藤博文をハルピン駅頭で射殺した
ピストルで6発発射のうち3発が命中した.。(いずれも致命傷)
「大韓國万歳」と三回叫んで、即刻その場でロシア官憲に逮捕され、
日本官憲に引き渡された。
伊藤は「犯人は韓国人」と聞いて、「バカなやつだ」と言ってから死亡した。
同 11月 4日 伊藤は東京で国葬にされる。
1910年 2月14日 旅順の関東都督府地方院で死刑判決。
同 3月26日 午前十時安は旅順監獄で死刑・殉国(享年32歳)。
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<両国教科書記述の比較>・・・立場が違えば、ひとつの出来事がどう違って書かれるのか?
*韓国の歴史教科書の記述
・「義兵闘争の展開」・・高宗皇帝の強制退位と軍隊解散を契機に、義兵の救国運動は
その規模と性格面で義兵戦争に発展していった。(1907年)・・・・・・・・・・・・
一方、全国の義兵部隊がソウル侵攻のために連合戦線を形成したこともあった。・・・・
その先発隊がソウル近郊まで進撃したが、日本軍の反撃が強くて、それ以上前進できずに
後退した。このとき、義兵はソウル駐在各国領事館に義兵を国際法上の交戦団体として
承認 してくれることを要求する書信を発送して、自ら独立軍であることを主張した。
そして洪範図と李範充が指揮する間島と沿海州一帯の義兵部隊が国内侵攻作戦を計画し、
義兵として活躍していた安重根は満州ハルピン駅で韓国侵略の元凶である伊藤博文を
処断*した。(1909年)
(国定韓国高等学校歴史教科書)
・同教科書歴史年表・・「1909年、安重根、伊藤処断*」
*処断・・とりさばいて決めること、裁断
*日本の歴史教科書の記述
・日露戦争中・後の朝鮮民衆による反日義兵闘争の記述はあるが、
伊藤博文暗殺や安重根の名前は記述がない。
(高校「要説世界史」山川出版2003)
・1907年大韓帝国皇帝が退位させられて、内政は韓国統監府がにぎった。
このため、韓国では民族的抵抗運動が広まった。兵士や農民が立ち上がったが、
日本軍に鎮圧された・・という記述はあるが、伊藤博文暗殺や安重根は出てこない。
(中学校「新しい社会」歴史、東京書籍2003)
・日本が朝鮮人の土地を没収したので、生活がますます苦しくなり、日本の統治に不満が
高まった。1919年には朝鮮独立万歳を叫ぶ民衆の暴動が全国に広がり、
100万人が参加し、多くの犠牲者を出した(万歳事件)。独立運動は・・・
満州・上海などに朝鮮独立政府や朝鮮解放軍が組織された。・・・などの記述があるが、
やはり伊藤博文暗殺や安重根は登場しない。
(家永三郎「検定不合格日本史」三一書房1974)
<2 本人の義挙の理由>
私が伊藤博文を殺したのは、韓国の独立戦争の一部分であり、また私が日本の法廷に立つことになったのは、戦争に敗北し、捕虜になったからだ。私は個人の資格でそのことをやったのではなく、韓国義軍の参謀中将の資格で、祖国の独立と東洋平和のためにやったのだ。したがって、万国公法によって処理することを要請する。
(上記2、3はともに安重根義士紀念館パンフレットより転載)
<3 最後の遺言>
私が死んだ後、遺骨をハルビン公園の近くに埋めておき、国権が回復した時に故郷に返葬してほしい。
私は天国に行っても*また、国権の回復のために尽くすつもりだ。君たちは帰って同胞に、皆が各々国のために責任を負い、国民としての義務を果たし、心を一つにし、力を合わせて功労を立て業を達げるようにと、伝えてくれ。大韓独立の声が天国に聞こえてきたら私はきっと踊りながら万歳を叫ぶだろう。
*筆者注:安重根は洗礼を受けてキリスト教徒であった
<4 死刑前日に同胞たちに書いた手紙> 私が韓国の独立を取り戻して、東洋の平和を守る為に3年間海外で耗尽の苦行をして、ついにその目的を遂げることなくここで行くことになる。 われら2000万の兄弟姉妹は、それぞれ自ら努力して学問に力をそそぎ、農業、工業、商業など失業を起こしても、私の意を受け継ぎ、 わが国の自由独立を取り戻せば死ぬ者の恨も残らないであろう。 |
旧満州ハルビン駅頭で安(左)に暗殺される伊藤(右) |
日本側の取り調べを受ける安重根 |
安重根義士紀念館と像(左)(右写真も) |
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牢獄内の安重根の人形 |
記念館入り口から見た館内正面 |
地方の名士の子として生まれた安重根は 博学で字も達者なインテリであった 館内にも多くの書が残っている キリスト教徒だが儒教にも精通していた |
「大韓義軍・参謀中将」の安重根 |
後に国から贈与された勲章一式 彼がこの国では義士で英雄で愛国者であることが分かる |
館前にある彼の書を刻した数々の石碑 |
参考および引用文献等
地球の歩き方 ソウル 02〜03 | ダイアモンド社 |
安重根義士紀念館公式パンフレット(日本語) | 安重根義士紀念館(祟慕会) |
写真図説 日本の侵略 | 大月書店 |
日本政治裁判史録・明治後 | 我妻 栄 第一法規 |
日本全史 | 講談社 |
日本死刑史 | 森川哲郎 日本文芸社 |
国定韓国高等学校歴史教科書 (世界の教科書シリーズ1)日本語訳本 |
大槻健他 明石書店 |
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