古都アユタヤにて(世界遺産) Ayuttaya, World-Heritage of UNESCO
ワット・プラ・シー・サンペット (アユタヤ・写真加工済) 
衛星からの写真・地図(Google)

 
バンコクを出て2時間45分後、線路上での長い信号待ちの後で、汽車はアユタヤ駅にやっと到着した。プラットホームや線路上では、首輪もない20匹ほどの野良犬が、数グループを作って吠えたり走り回ったりしていた。この国では、犬は本当に自由気儘に生きている。駅の掲示板には、たぶん外国人用にであろう「盗難に注意して下さい」と英語で書かれた紙が貼ってあった。よほど多いのだろう。
 
                    駅から歴史地区へ:衛星からの写真・地図(Google)

 それにしても、駅前の通りの何という雑然さであろうか。良く言えば、生活感が満ち満ちている。串焼き肉の露天商や野菜売りのおばさんや客引きしている足こぎ式三輪車タクシーや走り回る裸足の子供たち、大きなリュックを背にした白人のバックパッカーたちもいる。小さい町らしいので、
レンタサイクルを借りることにした。半日が30バーツ、90円弱である。物価の感覚がずれてくる。
 
 ずっと以前にドイツに行ったときも、レンタサイクルを借りたことがあった。「ロマンティック街道」の終点フュッセンから、自転車を長いこと漕いだ。バイエルン王国の伝説の王、ルートヴィッヒ2世の城へ行ったときのことである。東京ディズニーランドのモデルにもなったその美城ノイシュバンシュタインは山上にあり、結構長く自転車を押してあがったものだ。外国で自転車を借りるのは2回目だが、今回は高低差がない分だけ楽そうだった。  
       
アユタヤは緑が多く町もきれいで落ち着きがある

 最初に行ったのは、日本人町の展示が詳しいといわれる
「歴史研究センター」であった。先ずここを見て、この町の予備知識をもとうと思ったのだ。1月ではあったが、汗は出るわ息は切れるわと、やはり熱帯は平地でもかなり厳しい。水を飲み一息入れてから受付に行くと、なんと「今日は休み」という。本には定休日とは書いていなかったが、急な停電で空調がきかず緊急休館になったと分かった。この国では停電は日常茶飯事らしい。
 
 次に、アユタヤとその周辺から出土した遺物を展示する
国立博物館に行ってみた。この辺まで来ると、あることに気づく。街の整備が良くできていて、緑も多く何となくクリーンでさわやかな 感じなのである。観光と保存に力を入れているのが分かる。雰囲気がどこかグアムの街角に似ている。お洒落な のである。観光案内所も瀟洒で、職員の女の子の対応もスマートだ。英語もうまい。

ワット・プラ・ラームと蓮池(筆者写)
衛星からの写真・地図(Google)

 ここの博物館の展示は、主にこの町の城跡や寺院跡から発掘されたものが中心であった。展示の仕方や説明はやや田舎の博物館の風情であったが、庭に移転復元された地主の水上家屋はすばらしいものであった。

復元された水上家屋(筆者写)
                   
 その向こうに位置する
ワット・プラ・ラームワット・プラ・シー・サンペッ トなどの寺院跡は、大仏塔が聳えて並び、ハイビスカスやブーゲンビリアなどが青空の下で咲き誇っていた。隣の王宮跡と合わせると、大変な広さである。保存整備が十分されており、あちこちに掃除をしている姿が見える。残念なことに、残された仏像はあらかた首がとんでいた。ビルマが攻めてきてこうなったらしい。塔も相当破壊された痕があった。タイもビルマも「熱心な仏教徒同士」の戦争の話である。

ワット・プラ・シー・サンペッ ト(筆者写)

 中国の西域シルクロードのベゼクリク千仏洞や敦煌に行ったときも、一部の仏像や仏画は首がとんだり顔が削られてあった。これはイスラム教徒の「仕業」だった。イスラム教は「偶像崇拝」を否定するので、そんなことをしたのだろう。いずれにしてもこのまちが、全盛期には大変雄大で美しい都であったことは、容易に想像できた。
         
首を切られた仏像(筆者写)
 私は「乗り物」が好きで、中国シルクロードでふたこぶ駱駝に乗った時、次は象に乗りたいと思っていた。そこで「エレファントキャンプ」へ行ってみた。小さなサッカー場ぐらいな場所に柵があり、その中に十頭以上の象がいた。子象はやはりじゃれている。ここは結構観光スポットになっているようで、子供連れや外国人が特に多い。地元の子供たちもたくさん来ている。象使いが首の上に乗り、両足で耳の付け根をを軽く蹴って「操縦」する。客はサドルにまたがって、落とされないようしがみつく。駱駝は横揺れだが、象は縦揺れである。上から見る景色はバスの座席よりずっと高い。優しい象の目が妙にかわいくて、思わず鼻をなでてしまった。

エレファント・ライドでは観光客を乗せて町中を一周してくれる
ワット・プラ・シー・サンペット(奥)と象に乗る筆者

 北海道の日高牧場のポニーもかわいい優しい目をしてお茶目だった。草食動物の目はすべて優しい。こんな人気者の象も、この国の近代化と共に厄介者扱いされだしたらしい。ニュースで、バンコクから閉め出されたと聞いた。寂しいことである。


  

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