第十二日目(Day 12, Aug 18) ダンマッラ 発 (晴れ)Dunmarra(NT)〜Alice Springs(NT)
殺人事件のあった町を通る!
この辺のロード・ハウスやCPには、必ずあの「ガンマン・キラー」=殺人犯の指名手配似顔絵が貼ってある。手描きで、カウボーイハットの中年の細面、口髭男である。この国のどこにでもいそうな顔である。なぜか、その辺のみんながその顔に見える。日本人には見分けがつかない!あらためて、殺人事件の現場に近づいたと実感した。
゙ョン・マクドゥオール・ステュアート John McDouall Stuart |
ステュアート・メモリアル Stuart Memorial |
朝から328km移動して、「ステュアート・メモリアル(記念碑)」に着く。何度も登場した「ステュアート・ハイウェイ」の名前の本人の記念碑だ。ステュアート・ハイウェイは、ステュアートの探検コースと、ほぼ一致する。
*ジョン・マクドゥオール・ステュアート( John McDouall Stuart )
1815年スコットランド生まれ。1839年、今のアデレイドがまだテントと小屋だけの頃、南オーストラリアに来て測量技師をした。
南北縦断の電線敷設などのために働き、新しいルートを開拓した。数々の手柄で多くの賞金を得た。
のち英国に帰り、1866年に死ぬまでロンドンに住んだ。一生独身であった・・ (Exploring The Stuart Highway・・"より抄訳)
Car-sticker: ステュアート・ハイウェイ Stuart Highway
そこから47km走ると、スリーウェイズ・ロードハウスにつく。ここは交通の要所で、東に折れると、ブリスベーンなど東海岸へ向かう道である。前回私はこのコースを通った。今回はそのまま、アリス・スプリングスへ向かう。テナント・クリークを通って、125kmほど行くと、道の両側に奇岩が現れる。「デヴィルズ・マーブルズ」(下写真)である。巨岩の上に巨岩が乗り、落ちもせず微妙なバランスを保っている。このような岩が、辺り一帯に広がる。壮観である。まことに絵になる所だ。位置を変え、場所を変え、何枚も写真を撮った。
奇岩デヴィルズ・マーブルス Devil's Marbles
更に124km走ると、あの全オーストラリアを震撼させた「ガンマン・キラー」の殺人現場のあるバロー・クリークである。幾分緊張をして停まったが、もとより昼日中で、すでに殺人犯がいるはずもなく、写真をとって早々に退散した。正直に言うと、私たちは、未逮捕のこの殺人犯のことが、ツアーの間中ずっと頭にあったのだ。
殺人事件で全国に知られた小さな集落バロー・クリーク Barrow Creek
中の道には、牧場沿いの柵に上のような立て看板があった。要するに、「高圧電流の電気柵があるから気をつけよ」ということだ。ここの柵は、家畜が逃げないようにするためだが、また同時に、狐や野犬ディンゴの牧場への侵入防止のための役割も、果たしているらしい。
電気柵の表示
更に279km進んで、今回が三度目のアリス・スプリングに着いた。アリスとは当時の総督夫人の名前だという。実際に名前通り、「沙漠のオアシス」と言った風情の町である。位置的には、この国のど真ん中にある。何度来ても、この町は好きだ。
町の目抜き通りに入ると、何か祭りのような人出と騒ぎであった。なんと偶然にも、年に一度の自動車・バイクレース「オーストラリアン・サファリ」のスタート直前であった。ウーン、こりゃあついてるわ!見ると、かなり日本車も多い。ドライヴァーはいないが、ナヴィゲーターやバイクのライダーには、日本人もいた。
次々とスタートしてゆく競技車 Australian Safari 2001 About to start
突然、ドーンパパパーンバリバリと花火が上がった。結構スケールが大きい。今夏は日本で花火が見られなかったので、異国のオアシスで見る花火はいっそう感動的だ。車が縦一列に並び、順番に紹介されながら、旗が振られるとスタートしてゆく。観衆はそのたびに手を振り、歓声を上げる。これから何日もかかって、砂漠や荒れ野を走り、ダーウィンへゴールするのだ。とりあえず、430km先のエアーズ・ロック傍のユララを目指すらしい。
日本人の観客も存外いた。その中に、我が愛車ランドクルーザーを作るトヨタ系列、アラコ社(旧・荒川車体)のTさんがいた。彼は今はメルボルン・トヨタの駐在員だが、仕事の合間にラリーやレースを見に来る超フリークである。今日もわざわざ飛行機で来たという。根っからのラリー好きらしい。親切にいろいろ教えてくれる。
<後日談だが、彼はいったん仕事に戻って、またゴールのダーウィンまで見に行って、表彰式パーティーまでもぐり込んだという。メールでやりとりをして分かった。>(本日の走行距離940km)
本日のCPは、一度は泊まりたかったCPの名門「Big4」のグループメンバーである。なるほど、設備も大きく立派だが、それより「安全快適」にポイントを置いている。なんと出入り口にバー(横棒)のあるゲートがあり、その床にはカードなしに入る車を、強制的にパンクさせる鉄の爪まで付いている。時間外で、わざわざでてきた事務員の対応も良い。水回りやバーベキューコーナーなどの充実もすごい。流石である。時間があったら、何泊もしたい所だ。大満足で食事をし、床についた。