はじめに Preface

 
皆さんは「サハラさばく(沙漠・砂漠)Saharaという名前を知っていますか。「サハラ」とは、アラビア語で「何もない=不毛の地」という意味です。アフリカ大陸のほぼ半分近くを占める大沙漠のことです。そのサハラが国土の70%を占める国、北アフリカのアルジェリア人民共和国の自然、人々の暮らしを通して、この国を紹介したいと思います。

 まず、手元の世界地図のアフリカを開け、「サハラ砂漠」を探して下さい。そのサハラの上(北)の方、地中海に面しているのがアルジェリアです。きっとみなさんは、「沙漠」は鳥取の砂丘や千葉の九十九里浜みたいなものと思っているでしょう。 はたしてそうでしょうか?。これから、それを見てゆきたいと思います。さあ、いっしょにサハラへ旅をしましょう。


(1)地中海を越えて
(パリからアルジェへ)(春-夏) Across the Mediterranean Sea

 下(A) の地図で分かるように、アルジェリアはヨーロッパから大変近い位置にあります。毎日多くの国から航空便が飛んでいますが、フランスとの間は特に便数が多いのです。なぜでしょうか? 16世紀から19世紀にかけて、ヨーロッパの国々は、争ってアジア、アフリカ、中南米を植民地*にしましたが、フランスも1830年から132年間もアルジェリアを支配したのです。そのため、たくさんの死者を出して戦い独立した今でも、いろいろな面でフランスとの多くのつながりがあるのです。
    

A パリからアルジェへ
(旅に出たくなる地図・帝国書院より)


今回の旅ルート(首都アルジェ−ゴレア)
  
 (世界全地図・講談社より)
上の地図を衛星写真で見るとこうなります(クリック)
 4月のある日、フランスのパリのオルリー空港を飛び立った飛行機は、青い地中海を越えて2時間でアルジェ空港へ到着します。フランス上空では緑が多く見えていましたが、ここでは黄土色、褐色が色の中心です。機外に出ると、パリとは違って汗ばむような乾いた熱風が体を包みます。空港周辺にはヤシの木が多く植えられていますが、花壇にある花以外、雑草さえもほとんど見られません。なぜでしょうか? 

 この国に限らず、地中海沿岸の国々、例えばイタリア、南スペイン、南フランス、ギリシャなどでは、雨は夏に少なく、冬に多く降るのです。だから夏でも日本の冬のような景色になるのです。このような気候は、一般に「
地中海性気候」と呼ばれています。この気候では、オレンジ、オリーブ、ブドウ、小麦などが、よく栽培されます。

*植民地・・ 国の政治や経済などを、住民の意志に反して、外国に支配されている国や場所
*地中海性気候・・人が多く住む「温帯」の一つ。日本と違って全体に雨は少なく晴れの日が多い。雨量は夏より冬の方が多い。

アルジェ市遠望 Alger アルジェのシンボル・独立記念塔