はじめに
「台湾」決定までの顛末◆

 
この夏は台湾に行くことになった。昨夏は車でオーストラリア一周したので、今回は「近場」と決めていた。最初の案は「夏は涼しいところが良い」と思い、

1・日本海を船でわたり、シベリア鉄道でバイカル湖畔イルクーツクまで行き、井上靖の小説「おろしあ國酔夢譚」の大黒屋光太夫ゆかりのものでも見ようか。
または
2・稚内まで「青春18キップ」を使って列車で行き、フェリーでサハリン(旧樺太)へ渡り、日本人関係史蹟を見たり、汽車に乗ってさらに北へ行こうかとも考えていた。

 サハリン行きのフェリーのHPを見ていたら、ロシア旅行専門の会社があったので、早速見積もりをとった。メールと手紙の両方で返事が来たが、以下のことが分かった。

1 ロシアは「市場経済」になったが、依然として「観光ヴィザ」が要り、さらに全日程を決めないと、ヴィザが下りないという。体制が「社会主義」そのままであること。
2 サハリン・フェリー代が距離の割に高く、日本海を渡る方の船は今は年間定期便はなく、夏だけの季節設定になるが、それもまだ発表されてないという。(ひと昔前は「バイカル号」という有名な船があった)
3 一週間程度の日程では、片道が飛行機利用の方が、行程にゆとりが出るという。その場合、オホーツク航空とかサハリン航空とかの超マイナーな航空会社になること。ロシアの飛行機は整備が悪いので有名である。事故率が世界で一番高いのは、元ソ連国営AF社であったといわれる。
4 他の国と比べて、ホテルも設備の割に高い設定である。全体的に料金が高いこと。
5 現地のロシア人ガイドは、「大黒屋光太夫」の名前さえ知らないという。従って、関係史蹟も全く見られないこと。

 
以上を総合すると、私が嫌いな「全日程を事前に決定する」ことや「倹約旅行」が出来にくい環境だったので、今回は諦めることになった。こうして韓国へフェリーで再訪案や中国上海フェリー案、中国青島フェリー案を押しのけて、日本から沖縄経由台湾フェリー案が残った。台湾は私が未訪の地でありちょうどよいと思ったが、日本からのフェリー代がまた高く、往復すると大変な金額になること、時間がかかりすぎることも判明した。こうして「フェリー利用」を諦め、格安航空券の飛行機を使うことになった。

          
                          帝国書院新詳高等社会科地図より

 つぎに「台湾一周ドライヴ」を考えたが、調べたり尋ねたりHPで調べてみて、大変なことが分かった。
1 台湾は国際連合に加盟していないため、国際免許証が使えず、仮にレンタカーが借りられても、「無免許運転」扱いになるらしい。事故をしたら大変だ。
2 「無免許運転」もあってか、事故をしたときに保険が下りないらしい。
3 私は海外ではたいてい「ハーツ」「バジェット」という米系大手レンタ・カー会社を使うが、台湾にはこれがない。さらに他の米系大手は言うに及ばず、日本系のレンタカーもないのだ。台湾交通局のHPにも、聞いたこともない台湾の会社しか並んでいなかった。

 こうしてまた一周ドライヴのアイデアは「却下」となり、いちばん無難で日程の計画が立てやすい「列車」の旅しか選択肢がなくなった。(後で行ってみたら、台湾は長距離バス網が発達していたが・・・。)
                     
次ページ

 ネットで中華民国交通部観光局サイト台湾鉄路管理局のサイトを開けてみた。中文と英語のページがあった。下がその一部転載である。拾い読みしていったら、左下の地図のように一周が可能であり、さらに嬉しいことには一周専用の「環島週遊票」(島一周キップ)が割安で利用できるらしいと分かった。
「環島週遊票」
 上の「環島週遊票」は筆者が実際に使用したもの。一ヶ月間有効で、特急「自強号」から普通電車まですべての車両に乗れ、ベタで買うより300元以上安いと窓口のオバサンはいう。7枚綴りで乗るたびに駅で記入してもらう。一方向のみ使用可で逆行は駄目、1706元(約6000円余)。台北駅(台北火車站)窓口で買える。便利なものである。

鉄路管理局サイトより転載

中華民国交通部観光局サイトより転載

 <ご注意:「中文」を読むためには、あらかじめ「繁体中国語」フォントをインストールする必要があります。(ウィンドウズHP・フリー)>
   
   台湾鉄路管理局サイトより転載

 (English Page)(リンクしています)
Yearbook of TRA
Service Hot Line
Time Table & Ticket Price
Build History of Main Routes of Taiwan Railway
Train Ticket Information
Order Ticket On InterNet
Instructions for Using the Computer Voice Ticket Reservation System
Railway travel information
Demonstration of Train
TRA Tendering Information
Food & Travel Service Information
Freight Service Information
TRA Meeting Center
The History of Taiwan Railway Telecommunications Development

    <台湾的火車>
(筆者注:日本でいう汽車は「火車」、自動車は「汽車」、バスは「巴士」、タクシーは「的士」という。)
(以下の写真・台湾鉄路管理局HPより転載)


自強号(最新型)

電気駆動
全400車両
10〜15両編成
(15両編成で768座席)
最高速130km
全席禁煙・身障者/電話設備あり
機関車:UC&W of South Africa
(南アフリカ製)
客車:Hyundai Corporation of Korea
(韓国・現代社製)
1996年
自強号(西幹線)

電気駆動
1ユニット3〜5両編成、
最大3ユニット連結可(最大15両)
最大740席
最高速120km
エアコン・全席禁煙・電話設備
(3種類ありイギリス、南ア、イタリア製)
自強号(東幹線)

ディーゼル駆動
最大5ユニット15両編成
最高速110km
全席禁煙・電話設備
呂光号(西幹線)
(「呂」の字は正しくは呂の上にクサカンムリ)

ディーゼル駆動
最高速110km
通常編成は10車両520席
台湾国産で型式は多数あり
西幹線では電気駆動
東幹線ではディーゼル駆動
全席禁煙


(以下写真・筆者写)
新しい最速の自強号(韓国製) 古い車体の自強号
ペイントした集集線普通電車 急行、呂光号の車内の様子
他に急行復興号、快速、普通電車、通勤電車がある。
こうして出発前に、ほとんどの情報がわかるのはありがたかった。
謝謝、台湾鉄路管理局!まさに「ネットさまさま」である。良い時代だ。



参考資料  (リンク)