<おわりに>
おわりにあたって、「禁煙、分煙」についての最近の様子を書いておこう。文の中でも書いたが、世界はもちろん、運動のおくれた日本でも、「タバコを吸わない人」によい環境になってきている。これも「禁煙、分煙運動」をすすめてきた人たちの「おかげ」である。まず、いちばん新しいニュースだ。2002年11月1日より、東京の千代田区では、歩きながらタバコを吸うことを禁止した条例じょうれいが動き始めた。罰金は2000円(ゆくゆくは20000円)であるが、これで歩きタバコが減ると、君たちにもうれしいことになる。もともと歩きタバコの人の火が、子どもの顔に当たって大ケガをしたことが、ことの始まりだからだ。
「マイニチ・インタラクティヴ」=歩きたばこ禁止条例 放屁禁止法も必要?!
歩きたばこ禁止条例に賛成、反対?
でもこんな話も・・・たばこ輸入:日本、世界最大の年間835億本 男性喫煙率1位
また同じ2002年には、タバコを吸わない人や病弱な人、子どもや幼児、赤ちゃんにうれしいニュースが出てきた。人がいるところでは、タバコを吸いにくい環境が、法律で決められたのだ。国がタバコにきびしい姿勢を示したのだ。やっとアメリカに近づいてきている。それは下のようなきまり(法律)なのだ。これを「健康増進法けんこうぞうしんほう」という。少しむずかしいが、下の赤字の部分を見てほしい。
*健康増進法けんこうぞうしんほう第25条
健康増進法 (2002年7月26日可決成立。8月2日公布。2003年5月1日施行。)
第五章第二節 受動喫煙の防止
第二十五条 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
厚生労働省健康局長通知 (2003年4月30日)
「その他の施設」とは、鉄軌道駅、バスターミナル、航空旅客ターミナル、旅客船ターミナル、金融機関、美術館、博物館、社会福祉施設、商店、ホテル、旅館等の宿泊施設、屋外競技場、遊技場、娯楽施設等多数の者が利用する施設を含むものであり、同条の趣旨に鑑み、鉄軌道車両、バス及びタクシー車両、航空機、旅客船などについても「その他の施設」に含むものである。
厚生労働委員会議事録 (2002年5月17日) <民主党水島広子衆院議員の質問に対する厚生労働省下田智久健康局長の答弁>
「「多数の者が利用する施設」にはタクシーを含む公共交通機関も含まれるので、受動喫煙を防止するために必要な措置に取り組むよう努めなければならないと解釈している。」「(「施設」には国会も)含まれるものと考えている。」
「(「学校」は学校施設だけでなく、修学旅行や移動教室なども)教育の一環として当然その活動をするのだから、教育上の観点から種々のご配慮がなされるべきと考える。」
上の赤字部分を読んでよく分からなかった人のために、かんたんに言うとこうなる。
「子どもは嫌いなタバコの煙を吸わされない」
「子どもは校内や職員室で先生の煙をすわなくていい」
「学校の校内(授業、すべての教室、職員室、体育館、修学旅行、運動会、移動教室、校外学習など、児童生徒が活動する場所では、タバコの煙を吸わされることはない。屋内室内などでは校長は、このためにあらゆる措置、努力をしなければならない。もっとかんたんに言うと、「子どもは嫌いなタバコの煙を吸わされない」「子どもは職員室で先生の煙はすわなくていい」ということを国が決めたのだ。しかし、まだまだ問題がある。それは罰則(ばっそく)がない−ということである。つまり違反(いはん)しても叱られない−ということである。だから、人権意識(じんけんいしき)*が低い、いいかげんな経営者や校長、先生たちは、本気でこの問題に取り組まないかも知れない。だから君たちがいつも「タバコはキライです」とか「職員室でタバコは止めてください」とか「煙のない学校にしてください」と言いつづけることが、大切なのだ。つらい思いをしている人は、黙っていてはいけないのだ。
*人権意識・・・「人権(じんけん)」とは、人間が生まれながらに持っているしあわせに生きる権利である。その中には、自由権、平等権、社会権などたくさんの権利がある。さらにやや新しい権利として、環境権(かんきょうけん)や知る権利やプライヴァシーの権利がある。また、生存権や環境権とつながった新しい嫌煙権(けんえんけん)も注目されだした。嫌煙権は(他人のだした煙を吸わなくてよい権利)だ。一般的には、タバコを吸う人はタバコを吸わない人の煙いつらさは分かっていない。上のようなことがよく分かって、みんながしあわせになれるように考え行動することが、人権意識が高いと考えられる。
ずっと見てきたように、世界も日本も「禁煙」「分煙」の流れが強まっている。これは「タバコを吸わない人」、「体の弱い人」や「社会的弱者」にとって大変うれしいことである。いつの日にか、誰もがみんなのことを思いやり、タバコやさらに悪い「麻薬、禁止薬物」を吸わない日がくることを祈りたい。
変わってゆく世の中
先進国中おくれた日本でも少しずつ変化が・・
「禁煙」に関連した新聞記事・TV報道路上・球場・・・禁煙広まる/肩身狭まる愛煙家
タバコを吸う男性は二人に一人、男女全体でタバコを吸う人は三人に一人以下、
今やタバコを吸う人は『少数派』(JT調査で)
(いずれも日本経済新聞記事・2002・10・25)
阪神甲子園球場もついにスタンドが禁煙に
(プロ野球の球場で最後の「タバコが吸える球場」も禁煙に)
日本医師会が禁煙推進宣言、規制条約で政府に申し入れ
(医師、医療関係者の禁煙や病院での全館禁煙推進)(いずれも日本経済新聞記事・2003・1・29)
→参考リンク(日本医師会HP)
関東私鉄8社が5月1日より「全面禁煙」
(喫煙は一部指定場所のみ)(民放ニュース・2003・4・ 23)
「健康増進法」が動き出す 人のいる室内ではタバコは吸えない方向に
2003年5月1日より実施 違反者に罰則がないのが問題点
「ぽい捨て防止条例」可決・・広島市議会(日本経済新聞記事2003・7・4)
指定区域で路上喫煙やたばこ、空き缶のポイ捨て、落書きをそれぞれ禁止する「ぽい捨て防止条例」を賛成多数で可決した 2003年10月から施行する
罰則は2004年1月から適用 路上喫煙、ポイ捨て・・二万円以下の過料 落書き・・五万円以下の罰金
同様の条例(たばこポイ捨てを含む)・・・苫小牧市、大阪市、狭山市・・
資料=禁煙・喫煙関連のNEWSたばこ広告全面禁止に、公共交通機関などで
財務省は29日、たばこ広告を規制する財務省指針を3月中に改正し、電車やバスの車内、繁華街の屋外看板など公共性が高い場所でのたばこの広告を全面的に禁止する方針を固めた。これを受けて、たばこ業界は来年度から段階的に公共交通機関での広告を
取りやめる。(略)
業界はすでにテレビ、インターネット、少年・女性向け雑誌などへの広告掲載や、街頭での試供品配布を自粛しており、たばこの広告・宣伝は極めて限られた場所だけになる。 たばこの箱の注意書きについては、2005年7月から、健康への危険性を具体的に示すことが決まっている。表示や規制の強化によって、消費者のたばこ離れはさらに進みそうだ。 (2004/1/30)受動喫煙訴訟、東京・江戸川区に5万円賠償命令
受動喫煙で肉体的・精神的苦痛を受けたとして、東京都江戸川区職員の河村昌弘さん(36)が、勤務先の同区に慰謝料と治療費計約30万円の賠償を求めた訴訟の判決が12日、東京地裁であった。裁判長は「健康状態が悪化したとの申し出があった後も、原告の席近くの喫煙コーナーを撤去するなどの対策を講じなかった」と、区の安全配慮義務違反を認め、慰謝5万円の支払いを命じた。厚生労働省によると、受動喫煙を巡る訴訟での賠償命令は初めて。公共施設や飲食店などでの受動喫煙を巡っては、管理者が防止措置をとるよう定めた「健康増進法」が昨年5月に施行され、官庁や自治体が喫煙室以外を禁煙としたり、首都圏の私鉄各社が駅構内を全面禁煙にしたりしている。(読売新聞2004/7/12)
相撲場所で禁煙好評
大相撲初場所を迎えた東京・両国国技館では9日から全席禁煙がスタートした。灰皿がすべての枡席(ますせき)から消え、客席の煙が消えた。熱心な相撲ファンの三十台の女性は、「これまで煙がつらかった。大歓迎です。」寒風吹く屋外喫煙所の五十台男性は、「これも時代の流れ、仕方ないです。」今年から地方場所も含めて、全席禁煙になる。 (日経新聞2005/1/10)
禁煙・タバコについての世界の動き・海外の動き
◆ たばこ規制枠組み条約=公衆衛生分野での初の国際条約として、
昨年5月のWHO年次総会で全会一致で採択された。
健康の害をたばこに明示することや、発効から5年以内に
たばこの広告を原則として禁じることなどを求めている。
(読売新聞・2004・1・30)
→くわしくは・Yahoo news
上のリンクの内容が難しい人のために・・・・
*条約の主な内容*(UMIN Network)
〈1〉発効から5年以内にたばこ広告を原則として禁止する
〈2〉発効から3年以内にたばこ包装の主要面の30%以上に警告表示を載せる
〈3〉健康被害が少ないと誤解を与えかねない表示には発効から3年以内に有効な措置を取る。「マイルド」「ライト」などの表示も規制対象にできる
〈4〉国内法に基づき、未成年者が自動販売機を利用できないよう適切な措置をとる
もっとやさしくいうと・・・・
*毎日小学生新聞にリンク
◆アイルランド全面禁煙!
アイルランドは3月29日屋外や個人の家屋以外では
原則として喫煙を禁止する規制を導入した。屋内の職場、、
レストラン、居酒屋でも「喫煙席」さえ認めない。
このような前例はアメリカのニューヨーク市の例があるが、
ヨーロッパでは初めてのこと。ノルウェーも6月には同じような
規制を設ける予定。アイルランドの隣国イギリスにも
影響がありそうだという。(日本経済新聞2004・3・30要旨)
◆退社後の喫煙も禁止 米医療保険関連企業、検査拒否で解雇(かいこ=クビ)に
米国の医療保険関連の民間企業が、退社後の社員の喫煙を全面的に禁じる規則を1月から導入し、たばこを吸っていないことを証明する検査を拒否した社員数人を事実上の解雇処分にしたことが1月31日までに分かった。勤務時間外も禁煙にして社員の喫煙をゼロにすることで、企業や社会が長期的に負担する医療コストを減らす狙い。会社外での喫煙が解雇につながる例は米国でも珍しく「プライバシー侵害では」との批判もあるが、同社は「ほとんどの社員はこの規則に感謝している」と反論している。
この企業はミシガン州にあるウェイコ社。同社発表や米メディアの報道を総合すると、同社は2003年秋、社員の喫煙率を今年1月からゼロにする方針を決定。社員約200人の約1割いた喫煙者のうち、同社の援助で12人ほどが禁煙に成功したが、今年初めの検査を拒否した社員4人が退社に追い込まれたという。ウェイコ社側は「ほかの会社に保険サービスを提案するわが社にとって社員の禁煙は自然な選択だ」と話している。(共同)
(産経ウェブ・2005・2・1)
その後の禁煙についての日本と世界の動き
ここをクリック↓
終わりに、ここまでしんぼう強く読んでくれた皆さんに、お礼を言いたいと思います。さて皆さん、これでもタバコはかっこよくて、吸いたいですか?それとも・・・?みなさんは、今から「タバコ」についてどう考え、どう行動しますか?あなた方が家庭や学校でできることで、どんなことがあるのでしょうか?私は、皆さんの行動力に期待しています。 (おわり)
「若い諸君を読んで」・・・中学生の感想集(クリック)
この文を書いた「著者」にお便りしたい人は→(クリック)
お名前と学年、性別は書いてください 住所、電話など他の情報は要りません
具体的でまじめな物には時間がかかってもかならずお返事をします
(ホームページにリンク・クリック)
学校の先生方へのお願いです(クリック)
(あんちすもーくさいと・きっず!!・リンク承認済み・2002.11)
禁煙教育に取り組む先生方のための
実践指導例
(サイトリンク・クリック)
淡路医師会・淡路島全校一斉喫煙状況調査
<参考、使用、引用したウェブサイトと新聞記事>
この文を書くに当たって参考・引用・リンクさせていただいた
下記のサイト・団体にお礼申し上げます(順不同)
日本経済新聞 2002年10月25付 タバコ関連記事 |
毎日新聞 2002年7月8日付 タバコ関連裁判記事 |
読売新聞 2004年1月30日付 タバコ広告全面禁止記事 |
がんセンター公式サイト |
転載・リンク承認済 |
しばためぐみさんHP 転載・リンク承認済 |
洲本市禁煙専門外来&洲本市禁煙支援センターのページ |
転載・リンク承認済 |
JR西日本公式サイト http://www.westjr.co.jp/ |
「子どもに無煙環境を」 推進協議会http://www3.ocn.ne.jp/~muen/ |
http://www.mainichi.co.jp/eye/debate/07/theme.html |
http://www.aua.com/quicklink.asp?show=aua |
転載・リンク承認済 |
公衆衛生ネットワーク |
どうしてタバコはいけないの? (財)東京都健康推進財団本部事務局 |
関西医科大学 健康科学センター 禁煙外来 |
禁煙教育をすすめる会(先生方のホームページ) |
あんちすもーくさいと・きっず!! リンク承認済 |
たばこのリスクQ&A |
淡路医師会・淡路島全校一斉喫煙状況調査 |
中学校教科書 改訂・中学社会・公民 教育出版 |
若い諸君へのメッセージ 君たちは喫煙きつえんをどう思う? 子供のための人権シリ−ズ@1996−2002 夏休み社会科レポート集用第一版・1996年2月20日 ホームページ用改訂第一版・2002年11月1日 同一部修正加筆・2003年6月15日 (C)2002 All Rights Reserved by KENJI KAKEHI |