第三日目 (Day 3, Aug.9) キンバ Kimba (SA)発 (晴れ) 検疫所で野菜果物すべて没収される
Kimba〜Entering Western Australia(Border)〜
キンバから217km走ると、久しぶりに海に出る。なぜかホッとする。人間は水を見ると落ち着くらしい。祖先は太古海に居たからだろうか?風も爽やかで、潮の香りが鼻につく。
ここからは左手に海や崖が自然美を誇る。崖には海鳥が巣を作り、飛び回って誠に姦しい。このスケールの海岸美には、千葉県の屏風ヶ浦や佐渡島、隠岐島もまったく歯が立たない。
それにしても、ここは蠅が非常に多い。動くものと見ると、何百匹がワアッと集ってくる。背中や車のフロントウィンドウが、本当に真っ黒になる。これまで北アフリカのスラムでも、サハラ砂漠でもなかった初めての体験!だ。写真を撮り終えると、這々の体で車に駆け込んだ。
迫力満点の断崖美 Wilson Bluff
海のそばの鯨がいる!スタンド Petrol station with a whale?! |
メルボルンを出発してから何度か目の給油をする。車体が大変重く、車の燃費が悪い(6km余/l)のと、一日の走行キロが多いので、給油の間隔が短い。多い時は一日2回である。アー、お金がどんどん出て行く!軽油の価格は日本より少し安めであるが、何とガソリンはもっと安い!日本の国策が産業用軽油を優遇しているのがよく分かる。
給油所の傍に鯨の模型があった。(上写真) この辺の海は、ホエール・ウォッチングができるそうだ。そういえば、この大オーストラリア湾は、南極海に続いているのだ!。今日は全く姿はないが、一週間くらい粘っていたら見えるのだろうか
これよりウォンバット、カンガルー に注意!
Attention to animals next 52km !
シンボルはブーメラン アボリジナルランドにあるヤラタのロードハウスにて Yalara, Aboriginal land
中のみやげ店にはアボリジニのハンドメードの品が並んでいた こういう物を買うと彼らの生活の足しになる
いつの間にか、牧場も畑もない自然林の中を走っていると思ったら、「アボリジナル・ランド」であった。木が焦げたり、下草が焼けている所が多い。自然発火が多いので、彼らの知恵として、始めから火をつけて焼いておくらしい。また、焼いておくと、病害虫が減らせ土地も肥えるという。今では白人も、このやり方を取り入れているらしい。先住民アボリジニの長年の知恵であろう
ナラボー平原の入り口で Entering onto Nullarbor Plain "The treeless plain"
この辺りから土地は平らになり、ほとんど360度地平線が見えるナラボー平原に入る。荷物を後部にくくりつけたサイクリストが、たった一人で懸命に走っている。車でもたいへんなこんな所までと感動してしまう。知らない人だが、本当に心から応援したい。家財道具を満載した、アボリジニ一家の壊れそうなトラックを、何台も追い越す。「一族郎党」が乗っているようだ。
長いドライヴのあと、西オーストラリア州の州境に近づく。ボーダー・ヴィッレッジのロードハウスに隣り合わせて、動植物検疫所はあった。停まると、中から制服姿の「野村さち代」みたいなおばさんが出てきた。車のドアを開けて乗り込む。「野菜果物はないか?」と聞くので、袋に入れていたものを渡す。それでもオバさんは執拗に探しまわり、ベッドの下の棚から出し忘れたセロリー一株を発見する。これで勢いづいたのか、座席の下、スペアタイアのブロック、ガスレンジの奥、紙袋の中まで徹底的に探し回った。だんだんこの人が本当の「さちよ」さんに見えてきた。
(上)夕焼けに浮かぶ西オーストラリア州検疫所 WA Quarantine トマトを手に最後の「抵抗」をする妻
My wife's trial to eat 'em all at Quarantine動植物検疫所「動植物は申告すべし」
WA Quarantine SA/WA Border
こうして、集めた段ボールいっぱいの量を前に、「放棄するか、ここで食べるか」と通告。諦められない妻は、トマト、オレンジにかぶりついた。残りの野菜類は、「さちよさん」がナイフでザクザク刻んで、ゴミ箱に捨てた。全てがすんだときには、後続の車が何台も行ってしまっていた。ここに着いてから30分以上経っていた。あー疲れる〜 。日本では県境を越える時、こんな苦労がないのが嬉しい。
棄てられた野菜 Abandoned vegetables
車を出しながら、私はさんざん悪口を言う。「あれはきっと自分の州の青果物を売るためだ」とか「役人は農場主組合から献金を受けてるんだ」etc・・・。 本当のところは、むかし他州からきた病害虫で、農産物が大きな被害にあったのが理由らしい。この州は、農産物が大きな収入源のひとつなのである。
同じ国でも州境に検問所があるところが、日本人には考えられない。少しだけ走って、マンドラヴィラで宿泊する。ここは今までで一番安い一泊$10(約650円)であった。ただ、いかにも「裏の空き地」風で設備も悪い。安全を考えると、「空き地に停めるよりはマシか」って感 じだ。
黄昏ゆくハイウェイ Twilight Hwy
(本日の走行距離797km)