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作品名 (BW)は白黒映画のこと |
ジャンル |
私の想いと独断辛口コメント |
1 |
ガンジー |
歴史 |
こんなに心をうたれた映画も少ない。しかも画面も良い。人種差別の不条理さと同時に、宗教の違いによる社会構成の難しさもよく理解できる。ガンジーは映画の通りなら、イエス・キリストに匹敵する人物だろう。リチャード・アッテンボロー監督の作品はだいたいすばらしい。私の大好きな監督だ。 |
2 |
ドクトル・ジバゴ |
歴史 |
この年のアカデミー作品賞を「サウンドオブミュージック」にとられたが、内容は遙かにこちらが上だ。旧「ソ連」で発禁になったのも肯ける。カット割り、画面の美しさも特記特筆もの。エジプト出身のオマー・シャリフ=ジバゴも好演だ。ララのジュリー・クリスティーも良い。ただ、劇中すこし健気なジェラルディン=チャップリンの役が可哀想にもなるが・・。音楽「ララのテーマ」がずっと流れるが、もの悲しくてよく合っている。 |
3 |
アラビアのロレンス |
歴史 |
歴史物だが、こんなに自然=砂漠を美しく撮った映画も少ない。とくに冒頭のシーンは心に残る。(実在のロレンスの解釈も分かれてはいるが)後半の部分は少し不満が残る。ピ−ター・オトゥールのロレンスも奥が深い。テーマ曲が雄大で、他の賞含めアカデミー賞を独占した。 |
4 |
禁じられた遊び(BW) |
ドラマ |
筆者が小学3年?で見たもので少女の父母が橋の上でドイツ軍戦闘機に機銃掃射で殺されるシーンが目に焼き付いた。それ以外にはあまり戦闘シーンもないが、子どもを通して戦争の無意味さ残酷さを表しているところが、名匠ルネ・クレマンらしい。今見ても古さは感じられない永遠の名作。ナルシス・イェペスのギター曲が心を駆り立てた。涙なしには見られない。フランス映画。
写真はより転載 |
5 |
アルジェの戦い(BW) |
ドラマ |
アルジェリアが多くの犠牲を出しながら、フランスから独立する様子を描いた物。白黒画面とドキュメンタリー風の構成が臨場感を増す。カスバの様子も克明に描かれる。これを見れば、植民地支配に対抗する運動の流れと女性でも命をかけて爆弾を運ぶ人たちの「自由」を求める心の叫びが理解できる。これは今の「パレスティナ」とつながる。最初から最後までのハラハラする緊張感は秀逸だ。ドキュメンタリーと間違うようなすばらしい映画で、ヴェネツィア映画祭金獅子賞作品。イタリア・アルジェリア合作。
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6 |
愛と哀しみの果て
原題「アウトオブアフリカ」 |
ドラマ |
アフリカの大自然と人間の織りなすドラマ。なおかつ植民地支配の不合理さも暗示する。絵が雄大で美しい。女優のメリル・ストリープの悲しそうな顔と演技がマッチしている。なぜか心に残る。さすがアカデミー賞女優だ。ジョン・バリー(007/ロシアから愛をこめて)の音楽が大変美しい。 |
7 |
史上最大の作戦(BW)
原題「最も長い日」 |
戦争 |
筆者としては、珍しく原作と映画の両方を見た(読んだ)。事実に基づいて映画化された物。これまでの戦争映画は「ヒーロー」がでてくるが、この映画では、いわゆる「ヒーロー」はいない。「勝者でも犠牲者」という以後の映画に先鞭をつけた。ドイツ軍がちゃんとドイツ語をしゃべっているのが好感。(アメリカ映画なら、普通はドイツ軍でも日本軍でも英語をしゃべることが多い) 武器も当時の物を集め考証も良くできていた。わざわざ白黒映画にしてリアリティーを出している。ジョン・ウェインなど多くの大物スターたちがそれぞれかっこ良かった。 |
8 |
遠い夜明け
原題「自由を求めて」 |
社会
歴史 |
南アフリカの「人種隔離(アパルトヘイト)」という人種差別を分かりやすく描いた物。こういうシリアスなものは、やはりアッテンボロー監督作品。「今は昔」だが、南アの貧富の差や社会問題は未だ解決していない。 |
9 |
アマデウス |
音楽ドラマ |
はじめ、クラシックファンとしてこんな史実を無視した映画もないーと思ったが、「音楽入りのドラマ」と考えると、モーツァルトの音楽だらけで、「モーツァルトファン」としては嬉しい。音楽監督のネヴィル・マリナーの解釈がよい。ただ、一般のモーツァルト像が歪んだかもしれない。 |
10 |
戦場にかける橋 |
戦争 |
この映画も基本は事実を元にしているが、実際はかなり事実と違う映画(英作品なのでイギリス人中心)になった。実際はアジア人・現地人も多くいたのだが、映画には登場しない。ただ戦争の不条理をしっかり描いているところはよい。アレック・ギネスの前にウィリアム・ホールデンが完全にかすんでしまった。「クワイ川マーチ」がヒットした。筆者も子ども時代、毎日口笛を吹いていた。続編もできたが、やはりという感じだ。どの映画でも続編のよかった映画はまずない。 |
11 |
ベン・ハー |
歴史 |
これも史実とは異なるだろうが、娯楽物大スペクタクルと考えると良くできている。(イタリア・ローマのチネチッタ撮影所で撮影) CPグラフィックスにない時代に、特撮も入れてよくできている。競技場のシーンはCG全盛の今でも出色もの。むしろCGを使った映画の「嘘くささ」がなくて良い。 |
12 |
80日間世界一周 |
冒険 |
筆者小学校時代の映画。超ワイド画面のアカデミー賞映画で、まだ海外旅行が一般的でない時代、子供心に世界旅行のすばらしさを教えてくれた。最初から気球でアルプスを越えるシーンからして楽しい。今から見ると、やや偏見や変な描写や無理な演出、やらせらしいところもあるが、それを無視しても楽しい。今でも時々見たくなる作品。ヴィクター・ヤングの曲も映画をもり立てる。 |
13 |
エデンの東 |
ドラマ |
エリア・カザンというアメリカでは社会派に属する監督の作品。共産党員だったことから、「赤狩り」にあったり、仲間を「売って」問題になったこともあった。ジェームズ・ディーンという「夭逝」のスターが注目された。ヴィクター。ヤングのタイトル音楽がすてき。 |
15 |
ラスト・エンペラー |
歴史 |
歴史の事実とは少し異なるが、外国人が作った中国史の映画としては良くできている。紫禁城がスケール大きく美しく撮られている。坂本龍一の音楽も心に残る。ただ中国人が作ったら、まったく違う映画になっていただろう。 |
16 |
戦場のピアニスト |
ドラマ
戦争 |
ユダヤ系のポーランド人ピアニストの伝記映画。ナチス・SSのやり方やゲットーの生活が生々しく描かれる。さすが強制収容所を体験したポーランドの鬼才、ロマン・ポランスキー監督の話題作、カンヌ映画祭のパルム・ドール(グランプリ)受賞の作品だけある。戦争を知らない若い世代にも見てほしい作品。筆者はこれを見てから、ポーランドのアウシュヴィッツ収容所を訪問した。 |
17 |
シンドラーのリスト |
ドラマ
戦争 |
やはりユダヤ人を扱った作品で、ユダヤ人であるスピルバーグが、長年の想いを凝集したまじめな映画。それだけに他の彼の娯楽作品と比べるとおもしろくはないが、大いに考えさせられる。筆者はこのシンドラーの工場を探してワルシャワを歩いた。 |
18 |
空軍大戦略
原題「バトル・オブ・ブリテン」 |
戦争 |
何となくイギリスの「愛国心高揚映画」っぽいが、彼らには「国が滅びるか?」という時代の映画なので、よく理解できる。俳優もサー・ローレンス・オリビエ以下、そうそうたるメンバーが協力している。戦後かなり経って作られたが、よく保存された実物の機体が久しぶりにドーヴァー海峡上を飛び回る。空撮技術もすばらしい。一部模型の使用はあるが、実写のため、昨今のCG映画のようなゴマカシがなく、リアリティーがすばらしい。もうこういう映画はもう永久にできないであろう。血なまぐさいシーンが少ないのは、戦争映画としては是非が分かれるかもしれない。撮影はスペイン空軍協力の下、イギリスの他、南仏、スペインで撮影された。監督は「007ゴールドフィンガー」のガイ・ハミルトン。 |
19 |
大いなる西部 |
西部劇 |
グレゴリー・ペック、チャールトン・ヘストン、ジーン・シモンズ、キャロル・ベイカーといったそうそうたるメンバーが登場する大作。監督はウィリアム・ワイラー、「ローマの休日」や「ベン・ハー」を作った映画史に残る実力派。名前通り雄大な西部の人間ドラマで、ジェローム・モロスの担当した音楽がまた雄大で、筆者の大好きなタイトルである。 |
20 |
荒野の七人
原題「雄大な七人」 |
西部劇 |
黒澤明の「七人の侍」の焼き直し版と自他共に認める映画。これまでの西部劇は「正義は勝つ」中心だったが、映画のせりふでも「最後に勝つのはいつも農民だ」と言わせている。「ガンマンは滅びてゆく人間」として描かれているのが、今までとは違う。1960年代の「人権」「公民権」尊重の時代の作品らしく、メキシコ農民を好意的に描いているところが新しい。今の時代に置き換えられる内容など、単なる西部劇ではないおもしろさがある。 |
21 |
シェーン |
西部劇 |
決して大作とはいえない映画である。牧場経営者と農民の戦いにガンマンを絡ませた。少年のあどけなさ、純真さが心をうった。昔の映画なのに、表面的にはともかく、ガンマンは決して「かっこよく」はない。最後のシーンではシェーンは撃たれ、墓場(ブート・ヒル)へ向かうことが暗示される。「シェーン・カムバック!」のせりふは一時ヒットした。ヴィクター・ヤングの曲も大ヒットした。ロケした場所も美しかった。映画の中に小さくバスが出てくるのが愛嬌だ。 |
22 |
ゴッドファーザー |
ドラマ
アクション |
有名なマフィア物。解説が要らないくらいよく知られる。主演のマーロン・ブランドがど迫力。監督はコッポラ、ニーノ・ロータの音楽が美しく悲しい。 |
22 |
ライムライト |
ドラマ |
本当はもっと上位でも良い映画。不世出の名優、チャールズ・チャップリンの代表作といっていい。若い娘を一途に想うピエロの悲しい愛は悲劇で結末を迎える。何と言っても「サントラの曲がなかったら、魅力が半減」とも言えるほどテーマ曲が心をうつ。こういう映画は、昨今流行っているリメイクはできない唯一無二の名作である。 |
23 |
北京の55日 |
歴史アクション |
歴史物でありながら、こんなデタラメな映画も少ない。義和団事件〜「北清事変」で、出兵が一番多かったのが日本軍なのに、アメリカ軍が中心で仕切っている。また先進列強に侵略された中国人民の苦しみはまったく捨象され、「義和団」もただの「反乱軍」として扱っている。そんなことは無視して、娯楽物として考えると、「アメリカン・ヒロイズム」のチャールトン・ヘストンの「オトコらしいかっこよさ」と、デヴィッド・ニーブンの英国紳士の渋さがともに楽しめる。歴史無視的米(美)国中心的完全娯楽映画。スペインで「北京」のセットが作られ、そこで撮影されたという。 |
24 |
パットン大戦車軍団 |
戦争 |
アカデミー賞受賞作品。「第二次大戦を勝利に導いた猛将パットン!その鉄の意志とあくなき闘魂を描く堂々3時間の凄烈な激戦史!」というのが公開時のコピー。あのコッポラが脚本を担当した。主演のジョージ・C・スコットの頑固さも良いが、カール・マルデンの冷静な将官像も好ましい。スペイン陸軍の全面的強力でできた大作。もう二度とは作られない映画。
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25 |
ディア・ハンター |
ドラマ |
はじめは何の映画かと思ったが、展開してゆくとヴェトナム帰還兵の苦しみや悩み、社会復帰できない姿を通して、戦争のむごさ、不条理が鮮明となって行く。初めて公然?とヴェトナム戦争を批判した映画ではないか。あとにでてくる「プラトーン」などのヴェトナム戦争批判映画のフォア・ランナーだろう。 |
26 |
ウェストサイド物語 |
ミュージカル |
筆者高校時代の作品。当時はこういう作品は新鮮だった。レナード・バーンスタインの音楽はリズム感がよくヒットした。「マリア」という曲ははヒットチャートにのった。ロシア系のナタリー・ウッドがかわいくて大好きだった。 |
27 |
トップ・ガン |
戦争 |
「アメリカ至上主義」を感じさせる映画で内容は単純だが、娯楽物としてスピード感ある展開と音楽の融合的勝利だ。筆者も一時繰り返し見た。主演男優がかっこいい!同じテーマでも昔ならもっとイデオロギーを出しただろう。(霊:ジョン・ウェイン主演「ジェット・パイロット」)それにしても、J.ブラックハイマーの作品はいつも「強いアメリカ」というアメリカ愛国的である。i.e.「パール・ハーバー」。アメリカ人でもこういう映画を嫌う人がいるのも事実だ。 |
28 |
十戒 |
歴史 |
学校から引率され筆者小学生3年の時に見て、「海が割れる」のに感動した物だ。今だったらCGで作るのは大変楽だろう。テンポが遅いなど今見るとやや時代がかっているところもある。本当はユダヤ教徒やキリスト教徒でなければ、異教徒には理解しにくい映画。 |
29 |
OK牧場の決闘(BW)
原題「OK家畜柵の決闘」 |
西部劇 |
筆者が小学校時代見た映画。保安官ワイアット・アープが悪いファミリーを「家畜柵」で倒すという昔ながらの筋書き。当時はかっこよかった。本当のアープは悪い仲間とつきあっていた「ならず者」らしい。題も「牧場」となっているが原題のcorralは家畜留めの柵で牧場の意味はまったくない。フランキー・レインのテーマ曲が心に残った。 |
30 |
サウンドオブミュージック |
ミュージカル |
一般的には遙か上位に入る映画だろう。良くできた映画で、人によってはベスト3に入れるだろうし、筆者も繰り返し見た。アルプスも美しいし、ジュリー・アンドリュースも歌がうまいし、子どもたちもかわいい。単純におわりまで楽しめる。しかし、事実と違いすぎるのと、「反ナチ」以外、哲学がないところが欠点である。これがなぜ同年のアカデミー賞で「ドクトル・ジバゴ」に勝ったかがよく分からない。 |
31 |
グレン・ミラー物語 |
音楽 |
有名なジャズプレイヤーの人生を描いた物だが、ジェームズ・スチュアートとジューン・アリスンのコンビが良かったし(二人の愛情がよく描かれていた)、何より全編に流れるスウィングジャズが最高で、何度も見たものだ。実在の有名アーティストも多数友情?出演。「ベニー・グッドマン物語」や「五つの銅貨」など同類の映画とともに名前が残るだろう。 |
32 |
カサ・ブランカ(BW) |
ドラマ |
戦前にロケなしでスタディオ撮影のみの安上がり二流作品だったが、世界中でヒットした。ヒットする要素は備えていた。なぜかアカデミー賞を獲得。イングリッド・バーグマンだけで盛り上がった「日本人好み」の映画。だがハンフリー・ボ゙ガードは二枚目としては老けすぎだ。 |
33 |
哀愁(BW) |
ドラマ |
二流の戦前物だが、とにかくヴィヴィアン・リーがきれい。「風とともに去りぬ」の彼女よりきれいだ。
原題「ウォータールー・ブリッジ」 |
34 |
スパルタカス |
歴史 |
史実に基づいたローマ史関係映画。後に反乱を起こす元奴隷(カーク・ダグラス、マイケル・ダグラスの父)の話。妻になるジーン・シモンズのきりっとした美しさが残る。この頃の大作には必ず彼女がでていた。 |
35 |
河は呼んでる(BW) |
ドラマ |
ダムができて村が湖底に沈むとき、親を亡くした娘を取り巻く親戚縁者の「人間性」を描いた話。同名のテーマ曲が印象的だ。フランス映画。 |