第九日目(Aug.15)サンド・ファイアー Sandfire (WA)発 (晴れ) 日本人墓地で「ワーホリ」の娘たちと出会う

 朝からきれいな青空だが、なんだか寒くて目が覚めた。外がうるさいと思ったら、ガチョウと孔雀が餌を求めて、キャンプ場内を歩き回っている。孔雀は野生のようだが、蛇を退治してくれると、隣の車のおじさんが言う。彼が餌をやると、ガアガア鳴きながら集まる。昨晩は暗くて気がつかなかったが、裏は完全な荒野の大平原であった。何という自然のまま!
ガチョウに餌をとられた孔雀
Geese&Peacock at CP site
炊事する妻
Cooking in the cabin
 妻が「便器の中に大きなガマガエルがいた!」と興奮している。そういえば、あたりにカエルやら虫やらがいくらでもはい回っている。水をいくらかけても、ビクともしなかったらしい。まさに便所だけに、「蛙の面に小便」といったところか。自然のど真ん中という感じで、キャンプの雰囲気は十分だ。朝食前に、ドイツ人ファミリーが、早めに出発した。妻は手を振って見送る。知らない老人も手を振る。私はこういう雰囲気が好きだ。日本でも山では、知らない者同士が挨拶するが、ここのはもっと親近感がある?。お互いの旅の無事を祈る感じだ。日本の昔の「街道の旅」もこうだったのだろうか。

 午前中の目的地は
ブルーム、明治以来中国人や日本人が、真珠養殖に従事していたというので、来たかった町だ。前回の旅で、カウラ*という田舎町に行ったとき、そこの日本人墓地に、大戦中ここから連行された、日本人真珠養殖者の墓があったのだ。ブルームは人口5700人、西オーストラリアの真珠産業の中心である。一時は450隻の養殖船がいたが、今は10隻もいないようだ。干満の差が9mもあるので、浜はいつでも美しいという。
                              
     
                                  
(*カウラ=「オーストラリア旅のあれこれ」参照) 

"String of pearls"
♪Glenn Miller♪

 まず、目当ての
日本人墓地へ行った。驚いたのは、墓の数が多いことだ。それらは、他の墓とは高い柵で隔ててある。もう一つは、墓が比較的新しいことである。説明では、日本船舶振興会の故S氏が、公金を使って荒れ放題の墓地を改葬したという。私も、「異国」で亡くなった日本の方々に関心があるので、心情的には理解できる。以前にマカオに行ったときは、江戸時代に国外に追放された「キリシタン」の骨を見て、感極まったことがある。彼らの「望郷の心」を想像してしまったのだ。

 墓碑銘を見たり、写真を撮っていると、日本人の女の子が二人やってきた。話をしていると、今年の5月にケアンズにやってきて、中古車を4900ドル(約32万円)で買い、もうひとりと3人で回っているという。彼女たちは、いわゆる
ワーキング・ホリディ*」(通称ワー・ホリ)なのであった。「とりあえずパースを目指している」と言った。その後、この国を一周する予定らしい。これを「ラウンド」といい、ワー・ホリの人たちのトレンドだという。私たちのも中年オジさんオバさんの「ラウンド」だ。しばらく情報交換やおしゃべりをして、写真を撮って別れた。
日本人墓地で会った
「ワーホリ」の娘たち

Japanese Cemetery
in Broome
ワーキングホリデー制度とは?
日本と相手国のそれぞれの国の青年が相互に相手国に6ヶ月から1年の間、休暇を利用して滞在し、異なった文化を体験しながら滞在費や旅行資金を補うために、現地で付随的に就労する事を認めた制度です。滞在期間、語学学校への就学期間、就労期間には一定の制約があります。現在のところ相手国はオーストラリア、ニュージーランド、カナダ、韓国、フランス、ドイツ、イギリスの7カ国です。                             
ワーキング・ホリディー・オフィシャル・サイトより)

 次に、日本人関係の資料を入手するため、
歴史博物館へ行った。下のようなローカルな建物で、種々雑多の稚拙な展示だが、結構客は多く、欲しかった資料も手に入った。本当はこの後、日本人が住んでいた地区や真珠養殖場にも行きたかったが、時間の関係で出発することにした。
ブルーム歴史博物館
Broome
Historical Museum
 町を出て走っていると、またもやアリ塚が目につく。車を停めて上に乗ってみるが、硬くビクともしない。ずっと走っていて気がついたが、 アリ塚も場所によって、色や形に地域差があるということだ。色は赤色、灰色、茶色、形は「象のウンコ」型(写真@)と「とんがりコーン」型(写真A)に大別できる。形違いの理由は分からない。単にアリの「気分」かワガママかもしれない。(それぞれ筆者の命名)

ア リ 塚 二 種
写真@ ↓
象のウンコ型
1-1.5mHeight
(C)Kakehi



写真A→ 
とんがりコーン型
3-5m Height

(C)Christian



 この辺りから川が多くなり、緑も色を増す。雨量が多いことが分かる。高度が上がって、まわりも山勝ちの地形になってゆく。対向車は大きなトラックかキャンピングカーが中心だが、時に三輪サンドバギーに乗った若い二人連れや、自転車に大きな水タンクとテントを積んだ若い金髪女性が、独りぼっちで坂道をエッチラオッチラと上って行く。私はスピードを落として手を振った。むこうも笑って手を振る。日本国内では、若い娘が一台で国内を回るのは希である。「親になった気分」で、「あの娘、これから無事だといいが・・」と妻と話しあった。                     
 
                              道を少し間違えると、ダートがつづく田舎道が広がる(画像は変えています)

 フィッツロイ・クロッシング
を過ぎて、ますます山道になるとともに、どんどん暗くなってゆく。おそれていたカンガルーが、道端に現れだした。突然、車の直前を右から横っ飛びに、黒い影が横切ろうとした。あわてて急ブレーキを踏んだ。前バンパーに、尻尾がかすめて通り過ぎた。あとから心臓が激しくうちだした。妻も「当たった!」と思ったそうだ。(7:41pm) こうして苦労しながら、ブルームから695km走って、本日の宿泊地ホールズ・クリークCPへ到着した。

 やっと入ったCPは結構大きかったが、何か変な雰囲気だった。電話ボックスのガラスが割れ、オフィスの窓ガラスに金網が張ってあった。すぐ近くでかなりの数の
アボリジニーが、酒を飲んで歌を歌い、大声で騒いでいた。今までのCPとは雰囲気が違う。酒盛りは夜中まで続いたが、疲れていたのとビールのおかげで、自然と寝てしまった。 

                   
ウーンビールとソーセージは良く合う   (本日の走行距離1024km)