おわりに

 「このたびの旅」は最初にすでに書いたように、久しぶりの海外ドライヴと「アンネ・フランクの家」訪問とオランダ・ベルギーの著名美術館訪問、特にデン・ハーグ/マウリッツ・ハウスのフェルメール:「真珠のイアリングの少女」との再会、それにシーボルトのライデン大学訪問と期間が短い割には、多岐多彩で中身が詰まっていた。そのため、たいへん慌ただしい旅であったし、予期せぬ出来事がいくつも起こり、慌てたり困ったりと、スリリングとも言える旅でもあった。

 従って見残した、見落とした物も多い。例えば、「フランス・ハルス美術館」やルクセンブルグの国立歴史・美術博物館、温泉の語源になったベルギーのスパやF1レースで有名なスパ・フランコルシャン・サーキット、ベルギーの「京都」ともいえる古都ブルージュ訪問などなど・・、今思い出しても残念なものも多い。それでも今回の旅では、多くの美術館、聖堂・教会で絵画や彫刻類を見ることが出来たことは大いに収穫であった。

 旅の中でヒントになったことや考えさせられたことも多い。人家や道路そばに野鳥の巣が出来る都市計画など彼らの自然との関わり方もなかなか良い。文中で書いたように、海面下の土地が多いオランダでは、必然的に水との繋がりが切れない。カヌー、ボート、ヨットは生活の一部となっているし、平地ばかりのこの土地では自転車を利用する者が多く、結果的にスローライフ志向と環境保護、自然保護に繋がっている。未だにアメリカが調印しない「京都議定書」問題は、いずれ海面下のこの国の暗い将来を招くのである。彼らがヨーロッパでいちばん「環境コンシャス」であって当然である。

 こういう先進性を持つオランダだが、観光客誘致に熱心な割に、ホテルについては大いに問題がある。絶対数が少ないという問題の他に、文中でも書いたが、「ホテルによっては非常口が無い・使えない」という事柄は、ホテル自体が知っていてやっているし、帰国後その点を指摘しようと「オランダ政府観光局(在日本オランダ大使館内)」にメールを出したが、返事ひとつなく半月以上たった今でも無視されつづけている。いずれの国でも、その国の観光局は観光客誘致には熱心だが、いったん不都合な問題があると無視したり知らぬ顔をするものらしい。お陰で、この国に対しての印象がかなり悪くなった。

 そうは言っても、全体的には有意義な旅であったし、写真も800枚を越える枚数が撮影できた。改めてデジカメのメリットが確認できた。私のように展覧会やコンクール出品を全く考えず、HP用の写真だけに特化している者には、サイズさえ落とせば心置きなくたくさんの枚数が撮れるのである。これは35mmフィルムの時代には考えられなかったことである。何より、現像料+同時プリント代が倹約できるのは素晴らしいことである。

 このHPをご覧になっている方は、「海外の旅」に多少とも興味関心がある方であろうから、未訪問の国や場所の写真や説明を見ていただいて、なにがしかの旅の参考になることができれば、私としては望外の喜びである。また、すでにこの辺りを旅行された方で、疑義や誤りを見つけられた方は、忌憚無くご意見をお寄せいただきたい。「海外の旅」で「同好の士」と意見・情報交換することは、喜びでもある。


リンク:オランダ政府観光局公式サイト(日本語)

 

   





















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